プロジェクトの概要

Media+Educate

メディアと教育。

多くの場合、これらはどちらも目に見える結果を短期的に生み出すものではありません。しかし、この2つは‟種”となって長期的にわたしたちの思考を作り、行動を促し、ゆくゆくは社会に大きな影響を与えてゆくものです。

今、地方では、人口減少の解消のために「地域の情報発信が必要」と言われ、経済界では「新しい時代のビジネスモデルを生み出すクリエイティブな人材が必要」と言われ、教育の現場では「主体的対話的で深い学びが必要」と言われています。

どの問題も短期的な解決は難しいものばかりです。しかし、メディアづくりと地域の仕事と教育とを融合させた循環モデルをつくることで、これらに対して包括的に取り組むことができるのではないかと、わたしたちは考えています。

問いをつくる

授業の中では、「問い」をつくり出す事に焦点を当てて進めています。

「問い」づくりとは、落ち着いて、自分自身の思考に深く潜り込む行為。生徒は自ら主体的に作った「問い」を、インタビューという形式で地域で働く大人に投げかけていきます。

  • 講義のように一方的に大人から話を聞くのではなく、事前に相手のことを深く考え、自らの疑問と好奇心を明確にすること。
  • その人の仕事や市民活動が何を解決する取組みなのか、どんな意味があるのかをグループで対話して準備すること。
  • そして、緊張感を伴う実際のインタビューを経て、取材記事や、考えたことや感じたことをまとめていくこと。

このように、メディアをつくる過程は、地域の大人と出会うことによる学びを最大化させる有効な手段となります。

「問いを作る」ということは、正解の無い世界に踏み出すことでもあります。その世界はとても広大です。なにを言っても肯定される教室は、間違いを恐れる必要が無いため、とても賑やかです。

また、生徒は、他者を知り、自分を知り、地域課題を知ることで改めて自らの住む地域に出会い、考える力と実践する力を養っていきますが、彼らは受け取った言葉をそのまま血肉とするのではありません。

聞いた内容を理解しつつも、ある部分には疑問を感じ、ある部分には感動し、それまでは持ち得なかった自分だけの考えを育んでいきます。こうやって、頭が活性化していく楽しさを知ることは、すべての学びに対して好影響があるはずです。

地方創生とは、自分と地域に自信と誇りを持つこと?

わたしたちは、つい、都市部や遠くで活躍している人をありがたがり、自分の住む地域と自分自身を卑下してしまいがちです。しかし、身近な人たちと出会い、その仕事や活動の価値の‟すごさ”を知る機会があれば、改めてそこに住む自分自身と地域を肯定できるようになるのではないでしょうか。地方創生の土台もそこにあるような気がしています。

中学生のつくる「房総すごい人図鑑」は、「生徒の学び」+「地域の人との繋がり作り」+「地域の情報発信」を繋げることで、地域の「こうなったらいいな」をまとめて解決しようとする取り組みです。

いすみ市立岬中学校の1年生88人が出会った地域の‟すごい人”と、彼らに会ったことで新たな問いを生み出した中学生が、何を感じて、何を考えたのか、ぜひご覧ください。

運営者

房総メディアエデュケーションプロジェクト

房総メディアエデュケーションプロジェクトは、メディアづくりを通じて地域への愛着と生徒の自ら考える力を育むプロジェクトです。

「房総すごい人図鑑」は、房総メディアエデュケーションプロジェクトのメンバーがいすみ市立岬中学校の先生方とともに授業をおこない、生徒たちが地域の大人たちをインタビューして制作しています。

ビジョン

「人と地域がより豊かで、楽しく、創造的なものになること」。これが房総メディアエデュケーションプロジェクトのビジョンです。

子どもはみんな、無我夢中に走り回って遊びます。そうすることで元気な体が作られ、また、真剣に遊ぶことで自分が自由に行き来できる領域を広げていきます。それまで行ったことのない草むらの奥にワクワクして入っていくように、自分の領域を広げていく方法が‟領域そのものを「問う」”という行為です。つまり、「問う」ことは自由な遊びです。

「大人になると、いろいろ大変」「ずっと子どものままで遊んでいたい」。ぼくは子どもの頃、なんとなくそう考えていました。でも、自分が大人になってみると、大人は子ども以上に自由なんだ、ということを知りました。そのように思わせてくれたのは、日々ワクワクしながら生きている、まわりの大人たちの存在でした。

ぼくは、日々にワクワクしながら生きる人が増えることが、社会をより豊かに楽しくしていくと思っています。では、どうしたらそんな人になれるのでしょうか。それはきっと、たくさんの人に出会い、「問い」によってその人のワクワクに触れること。また、そこからなにかに気づき、行動を始めること(領域を広げること)。

 

その最初の小さなきっかけを作っていくことに、房総メディアエデュケーションプロジェクトは取り組んでいきます。子どもたちが大人になっても、自由な心を変わらず広げ続けられるように。

(文責 磯木淳寛)

メンバー紹介

磯木淳寛(いそきあつひろ)

企画運営/授業カリキュラム作成/授業実施/ゲストコーディネート/他

フリーランスライター/編集者/プランニングディレクター。『「小商い」で自由にくらす』(イカロス出版)著者。オーガニック食品を販売するオイシックス株式会社のライター/販売設計等を経て独立。

いすみ市太東小学校で地域新聞づくりのコーディネーター(2015,2016年度)。2015年より、地域の編集と情報発信をテーマとしたインタビューとライティングのワークショップ「LOCAL WRITE」を全国で開催。その参加費等を元手に、2017年よりメディアエデュケーションプロジェクトをスタート(房総メディアエデュケーションプロジェクトは、磯木淳寛が地域の有志とともに立ち上げた、学びのためのプロジェクトチームです)。

地域×情報デザイン×教育の分野で活動中。執筆媒体は『ソトコト』ほか多数。各地のローカルメディアの編集・制作にも携わる。北海道函館市出身、いすみ市岬町椎木在住。

「中学時代はサッカーと音楽(楽器演奏)の日々で、人生の楽しいピークのひとつでした。授業を通じて、生徒と楽しい地域や面白い世の中を作っていく仲間になっていきたいです」

清水京子(しみずきょうこ)

授業サポート/ロゴデザイン

イラストレーター×農業、たまにDTP。雑誌や書籍の挿絵やイラストマップ、イベントのチラシの制作など。いすみ市(旧夷隅町)出身、2014年にいすみ市にUターンし、在住。

「自分が子どものころは大人になることや仕事をすることはなかなかイメージできなかったので、このプロジェクトが生徒にとって、未来を作っていく力になるといいなと思っています」

椎葉康祐(しいばこうすけ)

ライティング(授業レポート)/撮影/授業サポート

旅する自然派料理人。日本貿易振興機構(ジェトロ)にてアフリカビジネス支援、特にアフリカ・ルワンダICTビジネス支援等を担当した後、2年で退職。2017年4月よりいすみ市・地域おこし協力隊。いすみ市やアフリカ・ルワンダ食材を用いた菓子・惣菜の開発、マーケットやオープンキッチン、シェアハウスでの食事提供、料理イベントを行う。千葉県いすみ市、宮崎県椎葉村、ルワンダの3拠点に農泊施設を開設し、農村体験プログラムを構築中。東京都生まれ、宮崎県日向市育ち。26歳。名字の起源は宮崎県椎葉村。

「房総すごい人図鑑で担当している授業レポートでは、授業を通じての中学生の成長の様子や、地域の仕事に取り組む方々へのインタビューの様子を見て、自分自身でも楽しみながら、中学生の生き生きとした姿を伝えていきます」

田中藍子(たなかあいこ)

授業サポート

フリー英会話講師。サーフィンがきっかけでいすみ市に移住。酪農業や市内の地域活性化事業に携わる。合気道二段。趣味は料理。

「回を重ねるごと成長著しい中学生たちを驚きを持って見ております。中学生だけでなく、関わってくださった地域の大人たちのうれしそうな表情も印象的で、そうしたことも含めて、この授業がますます地域を活性化するプログラムになればいいなと感じています」

高波佑樹(たかなみゆうき)

動画制作/撮影/授業サポート

福島県出身、国際武道大学生。現在在学中。勝浦市在住。2018年春より台湾のNational Taiwan Sports Universityに留学予定。

「風景写真をメインに日本・海外で写真を撮影してます。まだ勉強中ですが動画の撮影もしています。良かったら見てください」

西田彩香(にしだあやか)

授業サポート/動画制作サポート/バックヤード

嗜好品メーカーで商品企画職、研究職を経験したのち、2016年末に退社。フリーランスのオンライン秘書、地域情報誌のライターなどを務める。2017年11月末まで当授業のサポートをしたのちオーストラリアに渡り、現在在住。オーストラリアに住みながら、当プロジェクトに関わっています。

「授業では、岬中の皆さんの自由な発想にすごく刺激をもらいました。よく知られた‟名前のある職業”以外にもたくさんの働き方があることを、私も中学生の時に知っていたらなぁとも感じました。この授業を通して感じた問い、講師や先生方、同級生たちの何気ない言葉が、皆さんの輝かしい人生のどこかで支えとなりますように」

丹田こみち(たんだこみち)

授業サポート

2016年よりいすみ市在住。現在、いすみ市地域おこし協力隊として活動中。

「私が学生の頃は‟考える技術”を学ぶことなんてなかったので、みんなが羨ましいです。問いを持つ事がみんなの中で日常になったらいいな」