授業⑦『医療』って、なに?

〈前回のおさらい〉

前回は、初めての取材に挑戦しました。いすみライフスタイル研究所でいすみの活性化など地域活動に取り組んでいる奥村さんを取材し、「まちづくり」の仕事について理解を深める時間となりました。

取材の内容については、「まちづくりとはどのような仕事なのか」「仕事をして楽しいことはどのようなところか」「大変だった仕事は何か」など、奥村さんの仕事内容について知るための質問ができていたと思いますが、単発の質問とその応答の繰り返しになっていました。

「一つの質問についてさらに深堀りして質問を重ねる」ということができると、より良くなりそうです。

次回インタビュー(「吉田外科内科」の事務長さん)に向けて、準備開始!


授業では、前回のインタビューをまず振り返ったあと、早速次回の取材に向けての準備に取り掛かりました。
次回取材するゲストは、「吉田外科内科」で事務長をしている吉田淳さん。

吉田さんのプロフィールが書かれているプリントを見る生徒達。真剣なまなざしでプリントを読み込みます。
吉田外科内科は、いすみ市の地域医療を支えているまちのお医者さん。健康で長生きできるまちづくりに貢献しています。「医療」は生徒達にとっても身近な話題で、皆興味津々です!

吉田さんへの質問を考える

「吉田さんは『吉田外科内科』で事務長をしています」という事実に対して、具体的な質問を考えていきます。

岬中学校のI先生と、いラ研の奥村さん、そして今回と、この類の質問づくりは3回目。そういうこともあってか、生徒達は付箋にどんどん質問を書いていきました。「付箋が足りなくなりました!ください!」という班もたくさんあって、「どうしたんだ、この勢いは・・・」と僕もびっくり。

回を重ねて、慣れてきたのか、質問をたくさん考えられるようになっているし、質問内容も充実・・・。前回の授業で一度取材を経験したことで、要領をつかんだのかも知れません。

また、前回の取材が思った以上に楽しかったのかも知れません。生徒達の「急成長」を目の当たりにすると、見ているこちらもワクワクします!

住んでいる街から病院がなくなったらどうなる?


今度は、吉田さんが携わっている「医療」について探求していきます。

まず、講師の磯木さんから生徒に投げかけられたのはこの問い。

「住んでいる街から病院がなくなったらどうなる?」

ここでポイントなのは、「どうする」ではなく、「どうなる」だということ。

例えば、「病院がないなら、病院がある街へ引っ越す」というのは、「病院がなくなったら『どうする』」という質問の答え。「どうなる」の答えではないということです。

生徒たちは、この微妙な言葉のニュアンスの違いにも気づいていて、「『どうする』じゃなくて『どうなる』だよ!」と自ら声を上げていたグループもありました。このような、「質問自体への理解度」が増しているところにも、生徒達の成長を実感します。

なんで薬で病気が治るの?

続いて生徒に投げかけられたのはこの問い。

「なんで薬で病気が治るの?」

すると、「粉薬はまずいけど、錠剤なら飲める」とか、薬のおいしい、まずいの話をしているグループがあってクスッと笑えました。

「治らない病気もあるよね」「うちのじいちゃんは薬飲んでたけど病気が良くならなかった」とか、質問自体に疑問符を投げかけるグループも。とにかく、本当に質問について良く考えていると、生徒達の真剣さと成長ぶりに感心します。

なぜ人や生き物は子どもから大人になって老人になるの?

次の問いは、

「なぜ人や生き物は子供から大人になって老人になるの?」

「時間がたつとだんだん細胞が衰えるから」と、人体の構造に触れているグループや、「時が流れるから」と詩人的な答えを出しているグループがありました。「老人になりたくない!」と、質問自体を否定したい思いがあふれ出ていたグループも。子供らしいといえば、子供らしい。

さらに探求してみたい「医療」についてのテーマ


今までの3つの問い以外にも、さらに探求してみたい「医療」についての問いを、今度は生徒たちが自ら考えていきます。

「長生きとは得なのか?」
「ずっと子供でいるためにはどうすればいい?」
「健康で長生きできる社会とはどのようにしたらできるのか?」

まず、長生きしたいかとある生徒に質問してみたら、「したいです!でも大人になりたくないです!」と。「いや、大人にはなりたいけど20歳くらいで止まっていたい」という子も。

人間誰もが年老いていく。体が衰えていく。それは理解しつつも、いつまでも子供で、子供とまではいかなくても若者のままでいたいという気持ちが、生徒達の考える質問の数々から垣間見れました。

大盛り上がりの取材班決め


次回、吉田さんの取材を担当する「取材班」を決める時には、「ハイ!ハイ!」うちのと、班にやらせてくれ!と挙手で猛アピール。結局じゃんけんで決めることになったのですが、そのじゃんけん大会が大盛り上がり!

「なんか今日の生徒達、すごくなかった???」

授業が終わったあと、授業にかかわるメンバーがみんな口をそろえて言いました。

質問づくりの真剣さ、質問内容の深さ、授業に対する積極性、取材することに対する意欲の高さには、本当に目を見張るものがあります。

ますます、「房総すごい人図鑑」づくりは盛り上がりを見せています。次回の取材が楽しみでしょうがない!そんな回でした。

テキスト:椎葉康祐