授業③それは、どんな「問い」から作られた?

〈前回のおさらい〉

前回の授業では、5~6人のグループごとに、実際に「問い」を考える練習を行いました。

・班の中で2人がyesと答える「問い」を考える
・学年の中で5人がyesと答える「問い」を考える
・机の上のものについての疑問を「問い」にする

というお題のもと、各人が「問い」を考えていきました。

例えば、机の上に置かれた「時計」について、「そもそもなぜ時計が存在するのか」といった、哲学的な深い問いを作っている生徒がいました。

生徒がつくる「問い」には、大人をハッとさせるものがたくさんあって、大変興味深いです。

「それがどんな問いから作られたか」を考える

今回の「問い」づくりのテーマは、こちら。

「それがどんな問いから作られたか」

前回のように、「そのものについての質問」をつくるのは簡単です。なぜなら、質問を考える自分自身が、そのものを使っている立場(消費者)だからです。

例えば、「時計」がお題だったら、「なぜ長い針と短い針があるのか」「なぜ時計は丸型が多いのか」など、「時計」そのものについての質問を、消費者の立場でたくさんあげていけばいいのです。

しかし、「それがどんな問いから作られたか」を考える場合は、それを「作っている」人(生産者)の立場で問いを考える必要があります。

でも我々は、特に中学生は、自分自身で何かものを作り出す、生産者の立場の人はほとんどいないので、生産者の視点に立って問いを考えるのはなかなか難しいです。

例えば、「窓」がお題のチームは、「窓」は「外の景色を見るためには?」という問いから生まれたと、「自転車の鍵」がお題のチームは、「自転車の鍵」は、「他人に盗まれないようにするためには?」という問いから生まれたと、それぞれ「問い」を考え出していました。

ただ、自分自身がそのものを作ったわけではないから、問いを考えるのに苦労しているように見えました。

これは、中学生だけではなく、「消費」に慣れている我々大人も、「生産者」の立場で問いを考えるのは苦労しそうです。

「問い」づくりを通じてわかる、そのものの「良さ」とそれがある「理由」

あるものに対して「問い」をつくるにあたって、そのものについてより多く考え、より多く感じる機会になります。

モノに対して「問い」を作ることは、今まで意識していなかった、そのものの「良さ」や、そのものが存在する「理由」にも気づける、と磯木さんは生徒に伝えていました。

「ティッシュ」がお題のチームは、「『すぐ汚れを拭くには?』という問いから生まれた」と考えましたが、ティッシュは汚れだけでなく、鼻をかむこともできます。やっぱり、ティッシュって便利で使いやすくて便利だね。というように。


今回の授業は、世の中にあふれているものには、何らかの「問い」からできている。それを、「問いづくり」を通じて感じ、そのものの「良さ」について再発見する機会になったようです。

次回の授業では、「テーマ」を深掘りする質問づくりを通じて、その「テーマ」をより深く知るということに取り組みます!

テキスト:椎葉康祐