授業②学年で、5人がyesと答える「問い」は?

〈前回のおさらい〉

前回の授業では、いすみ市で働く人たちの仕事を取材して作り上げる「房総すごい人図鑑」についての概要が説明されました。

また、

・「食べ物を長持ちさせるには?」という問いからできた「冷蔵庫」
・「遠くまで速く楽に行くには?」という問いからできた「車」
・「遠くの人と話すには?」という問いからできた「電話」…

といったように、身の回りのものことは「なぜ?」「どのように?」といった「問い」からできているということについて確認しました。

磯木さんは、「房総すごい人図鑑」を作り上げていく過程では、この「問い」づくりが非常に重要だということを繰り返し話していました。

今回の授業は、「問い」を作る練習!

今回は5~6人のグループに分かれて、実際に「問い」を考える練習を行います。

最初のお題はこちら。


・学年88人の中で5人がyesと答える「問い」を考える

「問い」を考えた都度、付箋にその問いを書き、机の上に貼り出していきます。グループでこのようなやり取りが聞こえてきました。

「うちの学校のバドミントン部って、たしか5人くらいじゃない?」
「学年で生徒会に入ってる人も5人くらいだよ!」
「学年に『中村』さん5人くらいいなかったっけ?」

「5人」という明確なターゲットがあることもあり、どのグループもそれぞれありとあらゆる知恵を絞って、学年5人がyesと答える「問い」づくりに夢中になっていました。

そして、実際にグループで考えた「問い」を発表し、答え合わせします。

「『中村』という苗字の人!」

・・・すると、ぴったり5人手を挙げました。場で拍手が巻き起こり、場の雰囲気が一気に盛り上がりました!
「問い」づくりが楽しい!そう思える瞬間を生徒みんなが共有できた一幕でした。

「問い」を考える楽しさ

続いて、お題はこちら。


・机の上に置かれたものについての疑問を「問い」にする

それぞれのグループの机の上に置かれたのは、釘、時計、ティッシュ、信号、窓、カメラ、ペットボトル、電池、カレンダー、蚊取り線香、リモコンなどといった、暮らしの身近にあるものです。


あるグループでは、机の上に置かれた「時計」について、
「なぜアラームがあるのか」という、時計の機能に対する「問い」から、「そもそもなぜ『時間』があるのか」という、「時計」自体ではなく『時間』という概念にまで派生した「問い」までさまざま。

「5W1H」、そして「そもそも・・・」を意識しながら、柔軟な発想で「問い」をたくさん生み出していました。

「問い」を「自分で」考える難しさ?

グループワークを行っている様子を観察して難しそうに感じたのは、「『問い』を考える時は、他の人と相談しないで自分で考えること」という、磯木さんが提示したルール。

「問い」考えるこのワークは、国語や数学のような一般的な授業とは違い、「ひとつの答え」を求めるものではありません。生徒たちが考えた「問い」に正解、不正解は無く、すべてが「正解」なのです。

しかしながら、普段の授業で「一つの答え」を考えることに慣れている生徒たちは、自分が考えた「問い」について、

「大丈夫かな?おかしいかな?」

と不安になったり、そもそも「問い」が思いつかなかったりして、グループの人に相談してしまうケースが多く見られました。

自分自身で考えた「問い」に「間違い」は存在しない!と、その「問い」に対して自信を持つことができれば、他の人に相談することも少なくなるでしょう。

「問い」作りの練習あるのみ!
次回の授業でも、「問い」を考える練習は続きます!

テキスト:椎葉康祐