〈前回のおさらい〉
前回の授業では、「それがどんな問いから作られたか」を考えました。渡されたお題(信号、窓、自転車の鍵、ティッシュ、時計など)に対して、それを「作っている」人(生産者)の立場で問いを考えることで、そのものの良さや存在する理由について深く考える機会になりました。
今回のテーマは、「テーマをより深く知る質問づくり」
今回の授業では、ある事実(テーマ)に対して具体的な質問をたくさん考えていきます。そのテーマについて深く知るための質問づくりを練習します。
今回、生徒たちが考えるテーマは、こちら。
「〇〇さんは先生です」という事実に対する具体的な質問を考える。
岬中学校のI先生にモデルになっていただき、「Iさんは先生です」という事実に対して具体的な質問を考えていきます。
例えば、「先生は何の教科の先生?」とか、「なぜ先生になったの?」といった質問を各班の一人ひとりが考えていきます。
たくさんの質問を考えるためのヒントのひとつは、5W1H×時系列(過去、現在、未来)で質問を考えること!「なぜ~?」という質問だけでも、「過去(~であった)」「現在(~である)」「未来(~つもりである)」と掛け合わせると、3つ質問をつくることができます!
このことを意識して、生徒たちはたくさんの質問をつくっていきます。
たくさん質問を考えたあとは、「深堀りできそうだな」と思う質問を絞っていく時間。そして、実際にI先生に質問をします。
「質問したい班は?」と呼びかけると、3つの班から手が挙がりました!
生徒:「先生のどういうところが楽しいですか?」
先生: 「みんなの成長が見られるところかな?あと、人に教えるのが好き。みんなから元気をもらえるのが楽しい」
「I先生はいつから先生なの?」
「なぜ先生になろうと思ったの?」
「先生の『やりがい』は何?」
「なぜI先生は国語の先生になりたかったの?」
「なぜI先生は国語が好きなの?」
「国語以外だったら何の先生になりたい?」
質問を通じて、I先生の「やりがい」、「大変なこと」、「なったきっかけ」を知る機会になり、また先生が生徒に対して「何を伝えていきたいのか」を理解するきっかけになりました。
一方で、
「I先生はどこに住んでいる?」
「I先生の初恋の相手は誰?」
など、「Iさんは先生です」という事実に対する質問ではなく、ただ、I先生のプライベートに関する質問をする班も。
確かにI先生のプライベートも気になるかもしれないけど、ここでは「『Iさんは先生です』に対する質問を考える」というお題があるので、そのお題を意識した質問づくりが必要ですね。
普段よく接している先生のはずなのに、今回の授業で初めて知ったことがあったり、先生の意外な一面が明らかになったり、先生の想いに心が動かされたり・・・
「質問づくり」は単なる作業ではなく、人やモノを想い、考え、理解することができる良い機会になっていることを表す一幕でした。
「学校」を深堀りする
続いて、磯木さんが生徒に投げかけたのは、この質問。これらをひとつづつ考えていきます。
■教育とは?良い教育とは?
■先生がいなかったら生徒はどうなる?
■そもそも学校は必要?もし無かったら?
難しい質問です。
ある班から聞こえてきた、「そもそも学校は必要?もし無かったら?」という質問に対する回答は、「立派な大人になるため」、「最低限の教育を受けるため」。
この回答から、生徒たちが学校は「立派な大人」を作るための場所、「最低限の教育」が受けられる場所という認識を持っていることがわかります。でも、学校を出た人がみんな「立派な大人」になっているとはいい難いですし、学校でなくても通信講座等で「最低限の教育」を受けることができます。
普通に考えればそうかもしれないけど、別の切り口で考えたとき、見方を変えたときに、人やモノがより見えてくる。理解が深まる。
常識にとらわれずに柔軟な発想で質問づくりができるように、生徒たちは今後も質問づくりの練習を重ねていきます!
次回の授業では、実際の取材相手である、いすみ市で働く人(ゲスト)についての質問づくりの練習をしていきます。
テキスト:椎葉康祐