引田梨江子さん
プロフィール
有限会社 哀愁の月虹ひきだ スタッフ
1970年いすみ市島生まれ。国吉中学校、大原高校、お茶の水医療事務専門学校を卒業。茂原市にある病院で7年間勤めたのち、現在の社長と結婚。それ以来、月虹ひきだで勤務。「近年は核家族化が進んで家族の人数が減り、自宅で葬儀するのが難しくなってきましたが、いつでも相談に来ていただけるようなアットホームな会社づくりを目指しています」。
【哀愁の月虹ひきだ】
いすみ市苅谷にある小さな葬儀社。もともとは明治時代よりタバコ、食品、仏具などを扱う雑貨店として営業。先代の社長により葬儀社に。「今のしっかりしたホールを作るまで、葬儀は自宅で行っていました。葬儀社として気を付けていることは、服装、身だしなみはもちろんのこと、言葉づかいなど、ご家族の立場になって仕事をすることです」。家族葬、ペット火葬車、海洋散骨などの相談にも応じている。
<インタビュー>
「これからも、地域のお客さまに喜んでもらえるようにがんばっていきたい」
―以前に病院で働いていた時と、いま月虹ひきだで働いている時の気持ちは変わりましたか?
病院で働いている時は患者さんを治すためのお手伝いですけど、葬儀社は亡くなった方へのお仕事なのでその気持ちの違いはありますね。
―茂原の病院で勤めていた時の思い出はありますか?
病院の職員といろんな行事があるんですが、埼玉の方に本部があって、そこでソフトボール大会とか研修とか、仕事以外のこともたくさんやったのが思い出です。
―茂原の病院で勤めた理由はなんですか?
病院で働きたかったので、医療事務の専門学校に行って病院に勤めました。
―月虹ひきだで働き始めたきっかけは?
きっかけは、結婚して嫁いだお家がたまたま月虹ひきだをやっていたからですね。結婚してから2年くらいはまだ病院で働いてましたけど。
―月虹ひきだで働いていて一番大変だったことはなんですか?
たとえばお通夜ですかね。この辺だと夕方18時からのお通夜が多いので、それに間に合うように短い時間でお生花や料理の注文など多くの準備をしなくてはいけないのは大変です。あとは、病院で患者さんが亡くなって、お迎えに行くのが夜中だったり朝早くだったり。私たちは時間に関係なく24時間営業なのでそこが大変です。
―葬儀社で働いてよかったことはありますか?
お客さんから「いい葬儀でした」と言われることが嬉しいです。
―亡くなった方の自宅での葬儀はどのようにやるんですか?
自宅葬の場合は自宅に祭壇を飾りに行きます。それからお生花を飾ったりお供物、果物とかを飾ったりして。あとはお寺さんが使うお道具、そういうものも全部揃えて準備します。
―お葬式のときのための言葉づかいなどは普段から練習していますか?
私は練習はしていませんね。でも、以前に病院で働いている時も患者さんと接していて、言葉づかいには気をつけなければいけなかったので、普段から心がけるようにはしています。
―お葬式ではどのような言葉づかいをするのですか?
月虹ひきだを利用されるのはおもにこの地域の方なので、知っている人も多いのですが、ちょっとした会話でも〝〇〇でしょ"じゃなくて、〝〇〇ですよね"にするとか、普段の言葉づかいとは違って敬語を使うようにしています。
―もし1日に何軒もの葬儀が重なってしまったらどう対処しますか?
まず先に電話くれた方を優先して、2番目に電話をいただいた方は日にちをずらすか時間をずらすかしてもらっています。
―遺影の写真はどのように選ぶんですか?
家族の方に選んでもらっています。
―葬式のお食事会で食べてはいけないものはありますか?
宗派によってはありますね。お肉や生ものやエビといったものを食べない方には、野菜ものを天ぷらにしたり、お寿司も生ものは入れずに海苔巻きや巻物だけにしたり。そういうこともあります。
―宗教が違ったらお経なども変わりますか?
お寺さんによってお経の唱えかたは違います。たとえば日蓮宗だったら「南無妙法蓮華経」。天台宗だったら「南無阿弥陀仏」です。ほかにも葬儀に使う小道具も宗派によって使い分けています。
―お寺の道具はどのようなものがありますか?
宗派によって違うんですけど、まず打ち鳴らしという大きい鉦(かね)があります。あとは木魚が木柾(もくしょう)になったり、そういう違いがありますね。
―ご家族の相談で多い内容はなんですか?
例えば葬儀の時間、あとは火葬場に行く時間とか、ご近所の方をどこまで呼ぶとよいかとか。あとはマイクロバスを頼むかどうかとか、そういうことが多いですね。
―今の仕事はやりがいがありますか?
はい。お客様に喜んでもらえることや、「引田で葬儀をやってよかった」と言ってもらえるので。
―いい葬儀はどんな葬儀ですか?
お客様の立場に立っていろんなことを決めて、お客様に満足してもらうことです。
―ホールで葬儀をするようになって良くなったことはありますか?
今までは自宅に祭壇を飾りに行っていたんですけど、ホールだと祭壇がすでにできているので毎回飾りつけをする必要がないことです。あ、祭壇ってわかる?
―わからないです。
写真を見せてあげる。ちょっと待ってね。(生徒に祭壇の写真を回す)
―祭壇の飾り付けにはどのような注意をしていますか?
例えば生花とかだと、名札は子どもだったり兄弟だったり、亡くなった方に近い人ほど祭壇の近くへ飾るようにしています。
―お生花は告別式が終わったあとどのようにするんですか?
お花入れってわかるかな?棺の中にお花を入れるんですけど、余った花はうちでは花屋さんに花束にしてもらって、来ていただいた方に持ち帰ってもらったりしています。
―お生花とはなんですか?
例えばこういう感じのお花です。(生徒に写真を見せる)
―葬儀中に生き返って来たことはありますか?
うちではないですね。
―葬儀中はどんな気持ちですか?どうやって気持ちを落ち着かせているのですか?
式の最中とかですか?もともと静かな場所なので、慌てないようにしています。なるべく粗相のないように。あとは式をスムーズに進行できるように努力しています。
―月虹ひきだでは、多いときには何人くらい来ましたか?
一番多くて600人くらいだと思いますね。
―今後は月虹ひきだを子どもに継がせたいと思いますか?
うーん。うちは女の子ふたりなので、子ども次第ですかね。
―未来の月虹ひきだはどのようになってほしいですか?
うちは個人の会社なので大きな葬儀はあまりないですが、地域のお客さまに喜んでもらえるような葬儀ができるようにがんばっていきたいです。
(インタビュー:2018年度いすみ市立国吉中学校1年生)
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房総メディアエデュケーションプロジェクトは、中高生と取り組む、「問い」を起点に考える力をつけ、地域を発信するプロジェクトです。2017年度より、生徒一人ひとりを主人公にする、教育を核にした地方創生のための新しいカリキュラムとして有志数名で取り組んでいます。
元々すべて自己資金で始めた活動ですが、地域にお金を回す事で当活動を継続できたらと思い、地域の方々にご協力頂き、「返礼品つき寄付金支援サイト」をつくりました。返礼品はすべて房総のとっておきの品ばかりです。どうぞご支援ご協力頂ければ幸いです。
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