授業⑭酒蔵の蔵人にインタビュー!

今回のテーマは「お酒」「日本」「国」!


いよいよインタビューも今日で最終回。酒蔵の蔵人、ジャスティン・ポッツさんの取材をします!

ジャスティンさんは、アメリカのシアトル出身。日本でもあまり聞きなれない「利き酒師」という資格を持っていて、日本の伝統文化を学び、たくさんの方々に「日本の魅力」を伝えようと活動しています。
こういうの、日本人より外国の方々のほうが熱心な気がしますね。

さあ、ジャスティンさん登場!

「How are you?」

…いきなり英語で話しかけられて戸惑う生徒たち。

「はーいこんにちは」

日本語ペラペラでした笑。

ジャスティンさん、何か変わった服を着ています。「木戸泉」?

実はいすみ市では、「木戸泉酒造」という地酒メーカーがあり、ジャスティンさんは、その酒蔵で働きながらお酒造りを学んでいます。

また、発酵食を中心として、「食」に重きを置いた活動にも関わっています。ジャスティンさんの活動には、日本の「発酵文化」が深く関係しているようです。

今回の探求テーマは「国」。アメリカ人であるジャスティンさんが、国を越えて活動をしていることが、今回のテーマに関係しているのかもしれません。

生徒が用意してきた、

「言葉ってなんだろう?」
「国って何だろう?」
「なぜ国を越えて活動したいと思うのだろう?」

という質問の答えは、ジャスティンさんの「生き方」そのものにヒントが隠されているかもしれません。

なぜあなたは日本に!?


生徒たちの大多数が持っている疑問は、

「なんでジャスティンさんは日本にやってきたの?」
「なんでアメリカの人が日本の魅力を広めたいの?」

ということ。

日本に来た理由を聞いてみると、

「日本の大学しか留学先の選択肢が無かったから」

だとか。
もともと日本にどうしても行きたくて・・・では無く、たまたま日本に来たというジャスティンさん。
意外でした。でもこれは、何かの「ご縁」だったのでしょうか。

たまたま来た日本で「酒」にであい、それに魅了され、日本の素晴らしい「酒」をはじめとする伝統文化、発酵文化を広めたいと。

「じゃあなぜお酒を広めたいと思った?」

生徒が問いかけます。

ジャスティンさんは日本に来てから、日本の地方の農家さんとの出会いをたくさんしてきました。
そこで味わった、本当に「おいしい」料理。そして、「酒」。

東京にはこんなに美味しいものは無い、とジャスティンさんは日本の郷土料理と地酒を絶賛。
そして、ジャスティンさんが日本の地方で出会った「発酵食」。

味噌、醤油、納豆、麹、酒・・・発酵食を通じて、「体が元気になる」ことを体感しました。
これが、ジャスティンさんがお酒に、「発酵」に興味持ったきっかけだそう。

もっと「エンジョイ」しようよ!日本人

生徒:「日本を外国に広めたい理由はなんですか?」

ジャスティンさん:「こんなに日本には素敵なところがあるのに、日本人自身があまりエンジョイしていないように見えたから」

確かに納得。日本人、エンジョイしてる???
やはり、日本の「ストレス」社会を見て、外国の方々はそのように感じるのでしょうか。

日本の、特に地方には、宝のような自然や食がたくさんあります。しかし、地方にいるのはおじいちゃんおばあちゃんばかり。若い人は都会に出て行ってしまいます。

このままでは、地方のいいものを受け継ぐ者がいない…。地方の魅力を、大半の日本人が気づいていない。気づいていても、環境の変化への不安からなのか、収入への不安からなのか、都会の暮らしからなかなか抜け出せない。

「日本はいいものがたくさんあって楽しい!でも、日本人は全然楽しめていない!せっかくいいものがあるのにもったいない。みんなで楽しいものを共有しようよ!エンジョイしよう!」

ジャスティンさんの考えに、激しく同意した地域おこし協力隊の椎葉(レポート担当)です。

ジャスティンさんは自分の活動を通じて、日本人が日本の伝統的な酒や発酵食など、日本のいいものを楽しめる環境を作っていきたいそうです。

アメリカを離れて気づいた、アメリカの良さ

生徒:「なぜアメリカのことではなく、日本のことを広めたいのですか?」

ジャスティンさん:「そうですね、最近は少しずつ、日本の良さと同時にアメリカのことも広めたいと思うようになってきました」

離れて気づく、故郷の良さ。

ジャスティンさんの故郷、アメリカ東海岸の「シアトル」は、海や湖があって、街中から車でちょっと行けば大自然が広がっていて、美しいところなのだとか。

「故郷から離れ、故郷のことを俯瞰してみると、故郷の「魅力」に気づける」という意見は、ジャスティンさんだけではなく、第1回の取材ゲスト、奥村さんも言っていたことです。

東京に出てきて気づいた、地元宮崎の良さを感じている私、椎葉も同意見です。

今は「いすみ」の魅力がよくわからなくても、そのうち「良さ」に気づく時が来る。生徒たちにも伝わってくれるでしょうか。

「出会い」そして「今」が活動の原動力

生徒:「日本の良さを広める活動をして良かったことは?」

ジャスティンさん:「たくさんの『出会い』があったこと」

活動を通じて人と出会い、その人からの紹介また新しい人と出会い、またその人を通じて新たな人と出会う・・・その繰り返し。「出会い」が「出会い」をつなぎ、また新たな「出会い」に繋がっていったそうです。

そうして、「楽しいこと」「いいもの」は生まれていく、とジャスティンさんは言います。ジャスティンさんの「酒」「発酵」との出会いも、まさにそれ。「出会い」の大切さを知りました。

生徒:「いつまでこの仕事を続けますか?」

ジャスティンさん:「わからない。今を生きる。それだけですね。」

かっこいいですね。グッときます。時代はめまぐるしい変化の中にあるので、今ある仕事が近い将来なくなることも普通にあり得ます。一方で、時代の変化によって新たな仕事が生まれる可能性もあります。
やりがいのある仕事を求めて、「今」、この時を動き続ける。ジャスティンさんのマインドに心を動かされました。

ジャスティンさんは、日本の「酒」「発酵」に魅了されて、日本人以上に日本を楽しみ、日本のすばらしさをもっとたくさんの人たちに広めようと活動を続けています。

灯台下暗し、日本人が日本自体の魅力になかなか気付けていない中で、ジャスティンさんが今日語ってくれた日本の魅力は、日本人の心に響き、「気づき」を与えてくれました。

これからの日本を担う生徒たちが今日、ジャスティンさんの「想い」に触れる機会があって本当によかったと思います。

もっと日本人、「エンジョイ」していこう!

『房総すごい人図鑑』で取材するゲストは、ジャスティンさんが最後。次回からは取材内容をまとめる作業に入っていきます。

図鑑の完成に向けて、ますます拍車がかかります!次回もお楽しみに!

テキスト:椎葉康祐