授業⑩イタリアンのシェフにインタビュー!

<前回のおさらい>

前回は、今回取材する、イタリア料理店trattorìa GIFTのシェフ、川上さんについての質問づくりでした。それに関連して、「食」に関する問いについて考えました。

「ごはんを食べるとなぜうれしいの?」
「なぜ、国ごとに作られてきた料理がちがうの?」
「おいしい料理と体にいい料理はちがう?同じ?」

生徒各々が、「人がごはんを食べることって、どういうことだろう?」と、「食」について深く考える機会になりました。

「おいしいって何?」

さて、今回はイタリア料理シェフの川上さんへの取材当日!
取材班は質問内容の確認。緊張感が漂っています。

探求班は、川上さんの携わる「食」の分野における探求テーマを考えていきます。
例えば、

「おいしいって何?」
「なぜ人は食べ物を食べるのか?」

といったテーマが出ていました。

探求班以外の班は、川上さんへの質問を3つに絞っていきます。

ある班は、取材班に対して、「この質問をしてね!」とリクエスト。

取材班になりたかったけど、前回の授業でジャンケンに敗れてしまった班…よっぽど取材したかったのでしょう。取材班が背負う、他の班からの期待感と、他の班を代表して取材するという責任感。

でもこれって、授業に対して、取材に対して生徒達全員が真剣に向きあっているからこそ生まれるもの。生徒達の真面目さと成長度合いには頭が下がります。

イタリア料理シェフ・川上さんへの取材スタート!

取材班のみんなはイタリアに興味があって、イタリア料理のことを聞けるのが楽しみ!

「なぜイタリア料理に興味を?」

川上さんは、もともとサッカーをやっていました。ヨーロッパはサッカーが盛んで、イタリアも強豪国の一つ。

そして、川上さんの好物はピザとパスタ!おいしいピザとパスタを自分でつくりたい!という思いから、イタリアンシェフを目指したのだとか。

川上さんとイタリアンシェフをつないだのは、サッカーと、ピザ・パスタでした。

みんなお馴染みの「trattorìa=食堂」をつくりたい

「店名の「trattorìa GIFT」のトラットリアとはどういう意味?」

trattorìaとは、イタリア語で「食堂」の意味。一方、「レストラン」はイタリア語でristoranteと言います。

店名にristoranteではなく、あえてtrattorìaを用いたのは、気取らず、みんなの馴染みのある「食堂」を作りたいという思いから。川上さんのお店を、たくさんの方々に親しんで欲しいという思いが伝わってきました。

「おいしい」を追求する「楽しさ」

川上さんの仕事のやりがいは、何より、お客さんに「おいしい」と言って食べてくれること。

「おいしい」と言ってもらえるように、焼き加減などの調理法を工夫したり、食材の組み合わせを考えたり、入念に食材の下準備をしたり…

もちろん、ソースやドレッシング、デザートも全て「手づくり」。食材は、なるべく地元いすみの新鮮でおいしいものにこだわります。

「なぜいすみに店を開いたか」という質問の答えは、「食材の良さ」でした。

良い食材を生産する、農家さんや漁師の方々がそばにいて、どのような思いで、どのように作られているのかが目の前で「見える」というのもいすみの魅力。

川上さんの「料理」へのこだわりと、いすみの豊かな「食材」が、「おいしい料理」を作り出すのですね!

答えに困る「食」にまつわる質問?

「なぜ、食べ物の好き嫌いがあると思いますか?」

…この答え、パッと浮かびますか?僕はパッと答えが浮かびませんでした。
探究班の質問はすごく良く考えられていて、大人がハッとさせられるものばかりです。

川上さんの答えはこうでした。

「自分自身に食べ物の好き嫌いが無かったので、何で好き嫌いがあるのかよくわからないけど、好き嫌いは「作り手」の工夫で乗り越えられる」

作り手の「工夫」次第で嫌いな食べ物も好きになれる。シェフらしい答えです。

また、川上さんは「食べる環境によっても味が変わるから、いい環境で食事をすることが大事」とおっしゃっていました。

確かに、職場のデスクで一人寂しく食べるおにぎりより、山の頂上でみんなと食べるおにぎりのほうがおいしく感じますよね!

「深掘り」を意識した質問ができている

この取材中、質問内容に着目すると、あることに気づきました。

例えば、「サッカーをやっていた」という話を受けて、
「サッカーが料理に生かせたことはありますか?」と質問。

また、

「いつからシェフを志しましたか?」
(答えは「25歳から。まず、焼き鳥屋を始めた。」)
「焼き鳥屋さんだったのにいきなりイタリア料理屋さんに転身して大丈夫だったのですか?ジャンルが全然違うと思うのですが…」

という深掘り。

「料理中怪我をされたことがありますか」
(答えは「あります」)
「では、その怪我はどれくらいで治りましたか?」

という質問重ね。

以前の取材では、質問が単発で「一問一答形式」になっていたのですが、今回は質問に質問を重ねる、ある質問の答えに対して、さらに答えの内容を深掘りする、といった、「深掘り」する質問がたくさんありました。

これは、授業の中で「質問づくり」を繰り返すことで磨かれた部分だと思います。
本当に、生徒たちの「成長」に驚くばかりです。

今回の取材では、
今まで培ってきた「質問づくり」のスキルを最大限に生かし、内容を深掘りする「質問重ね」を通じて、川上さんの「食」へのこだわりや、「お店」に対する思いの部分を引き出していました。

今日も内容がとても充実していて、生徒達一人一人も、レポートしている自分自身も、とても楽しい時間になりました!

次回もお楽しみに!

テキスト:椎葉康祐