「患者さんが元気になって感謝してくれて、喜んでくれるのがうれしい」~医療法人吉田外科内科 事務長 吉田淳さん

吉田淳さん

プロフィール

小学校4年生まで勝浦市で育ち、その後、太東小学校に転校して岬中学校を卒業。高校卒業後、東京に出て医療系の資格を取り、実家の吉田外科内科に戻って来て事務長職に就く。

【吉田外科内科】
昭和55年(1980年)、吉田淳(よしだじゅん)さんのお父さんが勝浦市にある塩田病院を辞め、いすみ市岬町椎木に吉田外科内科を開院。以来、夜間休日に関係なく地域の人々の健康や医療に深く関わってきた。2016年12月で入院の受け入れを閉める。現在は、高齢者の外来を中心に、救急車を受け入れたり、地域に欠かせない医療機関となっている。診療科目は内科・外科・消化器科・整形外科・皮膚科・泌尿器科。

<インタビュー>

―なぜ吉田外科内科で働こうと思ったのですか?
小さい時から父の跡継ぎをしたかったからです。子どもの頃から、お父さんの仕事を見ていて自分もいつかは医者になるのかなぁと思っていました。

―どうして家族みんな医者になろうと思ったのですか?
もともと父が医者で、跡継ぎをしないといけなかったからです。ぼくは医者ではなく、事務長です。弟が医者になりました。

―一日に約何人の患者さんが来るのですか?
100人近くで、平均で80人くらいです。それで、大人と子どもではいつも時間帯が違います。午前は大人が多く、午後は子どもが多いです。

―どのような患者さんが多いですか?
お年寄りが圧倒的に多いです。それで、冬の方が患者さんが多く来ます。

―高齢者はどうやって病院に来るのですか?
近所の人が病院に連れてきたりします。最近やっていることは、いつも病院に来てくれている人を車で自宅まで送り迎えすることです。

―どんな症状の患者さんが来ますか?
風邪で来る患者さんが多いですね。インフルエンザの時期は、ワクチンを打ちに来る患者さんもいます。他には、腰やひざの痛みやケガの患者さんも来ますし、糖尿病や高血圧などの患者さんも来ますね。

―吉田さんは病気になったことはありますか?
はい、あります。小学校の時に盲腸になったことがあります。そのときは、父に手術してもらいました。

―治らない病気はありますか?                                                                                                            
はい、たくさんあります。むしろ、治る病気のほうが実は少ないです。このため、病気を薬で抑えておいたり、一時的にだましたりしておくことも少なくないですね。

―どうすれば、病気にならないですか?
いろいろな病気は、ストレスからくることもあります。なので、ストレス解消することが健康に生活できる秘訣ですね。自分なりのストレス解消法を見つけてみてくださいね。

―吉田外科内科で働いている人の数は、以前と比べて減りましたか?
はい、だいぶ減りました。平成28年までは入院ができる病院だったので、その頃はスタッフの数は20人ぐらいでしたが、今現在は10人ぐらいでやっています。食堂でご飯を作っていた人たちや、従業員たちがだいぶ減りました。今は10人くらいで人手不足だと思うこともあります。夜も常に誰かが待機しているので大変です。入院をやめてからは手術もやめました。

―手術をしないのはなぜですか?
手術をしないのは、入院が必要になることがあるからです。入院ができなくなってから、手術はしていません。

―事務長とは、どんな仕事をしているのですか?
ドアの修理や従業員の面接や、患者さんに接したり、患者さんの苦情を聞いたりして、だいたいは何でもやっていますね。働いているのは女性が多いので、ぼくは男仕事を担当しています。


―給料はどれくらいですか?
テレビドラマに出てくる『ドクターX』みたいなすごい人は、800万円くらいです。男性と女性の給料はあまり変わりません。

―病院のお金の仕組みって、どうなっていますか?
国の医療制度の予算がけずられていて、病院で使えるお金がけずられています。7割が国で3割が自分で医療にかかったお金を払っています。入院を閉めたのも、以前に比べて国の支援が弱くなり、経営も大変だったからです。

―いつまで、病院を続けたいのですか?
生きている限り、続けたいと思います。周囲に病院がないからこそ続けられます。後、恵まれているエリアだからつぶれないと思います。

―医者をしていて、やりがいを感じるときはどんなときですか?
患者さんが元気になって感謝してくれて、喜んでくれる時です。後、患者さんがお土産や家で作った物を差し入れに持ってきてくれることがあるのですが、それもうれしいです。

―これから未来に生きる私たちにメッセージを。
自分で道を切り開くチャレンジをしていれば楽しい自分になるかもしれないです。医療を通して世界が見えてくるので、これからどうしていくかなどの、前向きなことを考えられると思います!   

<インタビューを終えての感想>

■初めてインタビューをして、とても良い経験が出来ました。私の班は、吉田さんについて質問しました。
実際にインタビューをしてみて感じたことは、2つあります。1つ目は、本当の病院の仕組みが分かったことです。事務長の仕事がいろいろと分かりました。2つ目は給料の違いです。ドクターXみたいな人は、800万円くらいもらっているそうで、普通の人と、相当違ってびっくりしました。
パソコンやみんなで作文を書いてまとめました。まとめは、付箋とかが100枚以上あり、分類分けするのが大変でした。後、パソコンに自分達が書いた作文を文字打ちしました。最初は使い方とか分からなかったけど、先生に教わりパソコンが使えました。パソコンがとても楽しかったです。このようなことは、とても良い経験になり面白かったです。また、やってみたいです(廣田華)

■私が吉田さんを取材して、驚いたことは病院で使えるお金が削られているということです。病院で使えるお金が少なくなると、入院や手術ができなくなってしまいます。もう、吉田外科内科では、入院を閉めてしまっているそうです。このように、取材をするのは、初めてだったので緊張しましたが、新たな発見や知らなかったことがたくさんあって楽しかったです。
質問作りをしたり、質問の準備を決めたりと、取材も大変なのだと気づきました。最初は、答えに対しての質問がすぐに出てこなくて、あまり深く聞けなかったけど、だんだん慣れてきて、深く詳しく聞けるようになってきたので、とても楽しかったです。
普段こんな経験もできないし、これからもできないと思うので、凄く貴重な体験が出来てよかったです。普段の生活の中でも、自分で『問い』を見つけて考えていきたいと思います。(鈴木にこ)
  
■取材をしてみた感想は、初めは何をしたらいいのか分からなかったけれど、取材をしていくうちに問いについて必死に考えるようになった。いすみ市の歴史をたどってみたり、いすみ市を周ってみたりしなくても人に取材をすることによって、今まで知らなかったいすみ市が見えてきた。(齋藤太陽)

<取材相手の活動を元に、生徒が考えた問い>


■日本の医療は、世界でもトップクラスと言うことがわかったけれども、絶対にすべての重い病気を治す事は、難しいと思った。

■まだ100%治る薬がない。がんなどは取り除いて必ず残ってしまう。また体のどこかにまたできてしまうからインフルエンザも薬では和らげることしかできない。今の医療でここまでが限界で、どうすることもできない。

■自分は、医療は発展していて、かなり未来の世界は、人間が一生生きることができる世界があると思う。でも一生生きている世界はかなり怖いと思います。結果、人の命は限りある方が良い。

■未来の事なのでわからないけど、発展していくと思う。日本は世界の中で医療ランキングが上位だから、もっと発展していくと思う。

■「命を守ること」や「怪我や病気を治せる」の意見が多かった。「障害者を助けること」と言う意見もあった。

/////////////////////////////////////////////
房総メディアエデュケーションプロジェクトは、中高生と取り組む、「問い」を起点に考える力をつけ、地域を発信するプロジェクトです。2017年度より、生徒一人ひとりを主人公にする、教育を核にした地方創生のための新しいカリキュラムとして有志数名で取り組んでいます。
元々すべて自己資金で始めた活動ですが、地域にお金を回す事で当活動を継続できたらと思い、地域の方々にご協力頂き、「返礼品つき寄付金支援サイト」をつくりました。返礼品はすべて房総のとっておきの品ばかりです。どうぞご支援ご協力頂ければ幸いです。
https://boso-sugoihito.shop-pro.jp/
/////////////////////////////////////////////