「母と子どちらも救うことが助産師の使命です」~ハッピーマンマ羽鳥助産院 羽鳥恵美さん

羽鳥恵美さん

プロフィール

ハッピーマンマ羽鳥助産院/助産師。東京都出身。2016年4月にいすみ市に移住。
助産師になったきっかけは、中学生の頃に学校崩壊を経験し、同級生の中で若年妊娠や喫煙、暴力など警察沙汰になる事件が続き、命の大切さや家庭環境の影響について考えるようになったこと。山梨県の病院に就職して助産師に。その後、遠距離恋愛中だった現在の夫との結婚をきっかけに東京へ帰郷し、自然分娩メインの病院に再就職。
いすみ市への移住後は、出張専門で母乳相談のケア、新生児の体重管理、沐浴など産後の母乳育児支援を中心に行っている。

【ハッピーマンマ羽鳥助産院】
出張専門の母乳育児相談と、産後ケアセンターをおこなっている。産後ケアセンターは、宿泊施設と提携して出産後の母子に泊まってもらい「自然の中で産後の休養と育児をしてみませんか?」というもの。出張専門の母乳育児相談は、主にいすみ市周辺の方向け。そのほか、いすみ市内の新生児訪問やマタニティークラス講師なども担当。

<インタビュー>

―なぜいすみ市で助産院を開いたのですか?
いすみ市に住みたくて、いすみ市でどのような仕事ができるかと考えた時、自分の知識を生かして助産師になろうと思いましたが、いすみ市には助産院がなかったため助産院を自分で開こうと思いました。

―ハッピーマンマの意味は何ですか?
「ハッピー」は嬉しい、「マンマ」はお母さん、食事、おっぱいという意味です。

―旦那さんとはどこでと出会ったのですか?
元々小学校の同級生で高校生の時から十年間お付き合いし、結婚しました。

―沐浴とは何ですか?
ベビーバスの中でお風呂につかることを沐浴といいます。一ヶ月間は大人と別のお風呂に入ります。

―家と助産院で産むのは、どちらのほうが値段が高いですか?
基本的にあまり変わらないです。

―羽鳥さんがこれまで助産をしてきたなかで、一度の出産で産まれた人数は最大で何人ですか?
最高で四つ子ですかね。双子はいますが、三つ子や、四つ子は珍しいです。

―体内記憶がある子は、なぜ記憶しているのですか?
体内記憶は三歳くらいまではみんな覚えているようですが、言葉などを覚えていくため忘れてしまうけれど、覚えている子はずっと覚えています。

―出産のときに大量の血が出たら怖いと思いますか?
怖いと思ったことはないですね。止めなきゃなって思います。

―陣痛はどのくらいの痛さですか?
想像を超える痛みですが、愛情ホルモンで乗り越えることができます。

―奇形児が産まれてくることはありますか?
あります。指が六本あるなどの奇形児も近年増えてきているようですが、危険ではありません。

―母と子、どちらかしか救えない場合はどうしますか?また、一般的に、母と子、どっちを救う場合が多いですか?
医療者の使命はふたりをどちらも助けること。一人を捨てるということはありえないです。

―これまでで一番大変だった赤ちゃんはどんな赤ちゃんですか?
なかなか体重が増えず、お母さんのミルクを飲んだらすぐに吐いてしまう赤ちゃんや、産まれてくる時、へその緒が赤ちゃんの頭に三重になって産まれてきた赤ちゃんですかね。

―産後のストレスで自殺してしまった人はいますか?
現状では約10人にひとりが産後うつになっているそうです。産後のストレスが原因で自殺してしまう人も増えています。また、育児が大変で涙ぐんでいる人や、ストレスを感じている人もいます。

―収入はいくらくらいですか?
普通のÒLさんと同じくらいです。二十万円くらいですかね。

―いつまで仕事を続けていきたいですか?
助産師には定年がないので一生続けていきたいです。

<インタビューを終えての感想>

■私は、インタビューをした経験があまりなく、また、助産師さんの話を聞く機会などなかったのでとても緊張していました。インタビューするまでは、助産師の仕事は、お産の介助をすることしか知りませんでした。でも、お産の介助だけでなく、赤ちゃんを持つお母さんたちのサポートや、メンタルの保護、自宅訪問などをしていると聞いて驚きました。                
人の命とかかわる仕事なので大変かと思いましたが、苦しいときはないと聞き、この助産師の仕事をすごく生きがいにしているのだと思いました。また、産まれたばかりの赤ちゃんと一番最初に目が合うことや、赤ちゃんに触れられることが嬉しいと聞き、赤ちゃんの誕生に携わる仕事に魅力を感じました。そして、羽鳥さんが言っていた、「医療者の使命は、すべての人を助けること。」という言葉を聞いて、とても責任感があり、かっこいいなと思いました。羽鳥さんに助産師のことを教えてもらえてよかったです。(伊藤結子)

■私は助産師の羽鳥さんにインタビューしたときに、ドラマやアニメ、本などで見ていた事と全く違っていて驚きました。しかし、とてもためになることばかりでした。例えば、産後うつが最近多くなっている。ことなどです。私はうつになる人がいるとは知っていましたが、あまりいないと思っていました。
他に、とても驚いたことは、三つあります。一つ目は産後のストレスで自殺してしまう人がいることです。二つ目は助産師には定年退職がないので仕事を何歳まででも続けられるということです。三つ目は奇形児が最近増えてきているということです。他にもたくさん驚くことやもっと知りたいと思うことがあり、今までよりもっと興味が湧きました。
今回取材をしてこれからのドラマや本などの見方が変わってくるのではないかなと思いました。取材ができて本当に良かったです。(處眞羽)

■私は、助産師さんの羽鳥恵美さんにインタビューをしたときに、最初はとても緊張していた私たちに羽鳥さんは優しく、「いい質問ですね。」などと言ってくださったり、休み時間などには声をかけてくれて話をすることができました。そのおかげで、後半のインタビューでは、緊張せず、落ち着いて質問などをすることができました。
私が印象に残っていることは二つあります。一つ目は、産後のストレスで自殺してしまう人が増えてしまっていることです。育児がとても大変で涙ぐみ、ストレスを抱えてしまう人もいると聞いて、育児は私が想像するよりも、はるかに大変なことだなと感じました。
二つ目は、「母と子どちらを救う人が多いですか?」と質問したとき、「母と子どちらも救うことが助産師の使命です。」と言った言葉が頭に残っています。二人どっちも助けるというとても大事な仕事をしているのだなと分かることができました。
今回、羽鳥さんにインタビューをして、助産師さんはとても大変な仕事をしているのだなと改めて感じることができました。(佐久間彩)

<取材相手の活動を元に、生徒が考えた問い>



■命とはいだいで大切なもの。生があれば死もあり、いつかは死んでしまう。この世界には生きているもの(命があるもの)と生きていないもの(命がないもの)の2つがあることがわかった。

■アンケートを見て、死んだら命が生まれ変わるに丸をつけていたので、自分と同じ考えの人がこんなにいるんだと驚きました。

■自分たちの考えとは別の考え方があってとても楽しかった。

/////////////////////////////////////////////
房総メディアエデュケーションプロジェクトは、中高生と取り組む、「問い」を起点に考える力をつけ、地域を発信するプロジェクトです。2017年度より、生徒一人ひとりを主人公にする、教育を核にした地方創生のための新しいカリキュラムとして有志数名で取り組んでいます。
元々すべて自己資金で始めた活動ですが、地域にお金を回す事で当活動を継続できたらと思い、地域の方々にご協力頂き、「返礼品つき寄付金支援サイト」をつくりました。返礼品はすべて房総のとっておきの品ばかりです。どうぞご支援ご協力頂ければ幸いです。
https://boso-sugoihito.shop-pro.jp/
/////////////////////////////////////////////