授業⑨『食べる』って、なに?

<前回のおさらい>

前回は、吉田外科内科医院の吉田さんを取材しました!生徒のインタビューでは、医療の現場における「リアル」(過酷な労働環境や、資金のやりくりなど)に迫ることができました。

「病院は潰れないのか」という思い切った質問など、質問一つ一つが確信をついていて、生徒達の「質問能力」も、回を増してぐんぐん成長しています。

次回のゲストはイタリアンレストランのシェフ!

さて、本日も、次回のインタビューの準備に取り掛かります!

次回のゲストは、いすみ市でイタリアンレストランtrattorìa GIFTを営む、シェフの川上豊さん。川上さんのプロフィールが書かれた紙を参照しながら、質問を作っていきます。

とある生徒達のふせんを見ると、あることに気がつきました。ふせんの下にまたふせんを貼り、さらにまたふせんを貼り…。

内容を見てみると、

なぜ「いすみ」でお店を出したのか?
なぜ「イタリアン」を選んだのか?
オススメの料理は?

理由を聞いてみると「質問する順番を意識してふせんを貼っています。」と、生徒達が自分達で考えて、質問の「階層」を作っていました。質問に質問を重ねる、「深掘り」を意識した質問づくりができている証拠です。

授業の回数を増すごとに、「質問づくり」にも変化が現れています。

「食べること」にまつわる問いを考える

次に、川上さんがシェフとして関わっている「食」「食べること」にまつわる「探求」テーマについて考えます。

まず講師の磯木さんから最初に提示された、「ごはんを食べるとなぜうれしいの?」という問いに関して。

「『生きてるぅー』という感じがするから」
「おいしいから」
「エネルギーを摂取したから」

生きている実感、「おいしい」という喜び、活力がみなぎる感じ…自分自身の「感覚」に基づいて、それぞれ答えを出していました。

次に提示されたのは、「なぜ、国ごとに作られてきた料理がちがうの?」という問い。

「文化がちがうから」
「気候がちがうから」
「(気候が違うと)育つ植物がちがうから」
「(気候が違うと)獲れるものがちがうから」

国ごとの文化と生活環境の違いが、料理に違いを生んでいるのではないか?という考えを出している班が多数ありました。

そして最後に提示されたのは、「おいしい料理と体にいい料理はちがう?同じ?」という問い。

ある班でこのような議論が。

「おいしいっていうのは、体にいいってことだよ!」
「違うよ!」
「そうだよ!」
「じゃあハンバーグは?おいしいけどそればっかり食べてると体に悪いでしょ?」
「結局バランスが大事だよね。」

また、ある班はこんなことを言ってました。

「青汁とか、スムージーは体に良さそうだよね。でもアレおいしい?」
「砂糖とか甘いものが入るとおいしくなるよね。けど身体に悪くなる。」
「砂糖が入ってないとか、『無添加』は体にいいってことじゃない?」

議論を聞いていて、クスッと笑える。でもそれぞれ真剣に考えていて、グッとくる。そのような印象を持ちました。

人がごはんを食べることって、どういうことだろう?

続いて、「食べること」にまつわる探求テーマを、自分達で考えます。

「なぜ3食食べるのか」
「どうして食べると体に栄養がいくのか」
「なぜ味があるのか」

はい。これらは何となく誰もが感じている疑問です。

一方、

「なぜ食べ物に『無』があるのか」

…これはどういう意味?

「ガムとか最後の方は味が『無い』ですよね。だからそれが疑問に思って…」

なるほど。なぜ味が『無くなる』のか、という意味でした。

あと、こんな問いも。

「『おいしくなーれ』でごはんはおいしくなる?」

魔法かけるみたいにね。おまじない。確かに気になります。

「食べ物」というのは、人間にとって切り離せない共通の話題というのもあって、話が広がり、探求テーマも考えやすかったようです!

取材に対する意気込み、やる気の気迫!


さて、取材のまえの授業で恒例の、取材班と探求班を決める挙手!取材班も、今回は「食」について探求する探究班も希望が多い!


白熱するジャンケン大会。ジャンケンの勝者は喜びを爆発させています!敗者は、悲しみに暮れています…

これも、取材に対する思い入れ、意気込み、やる気の高さがあるからこそのリアクション。生徒達の「気迫」に、こちらも圧倒されます。

さて、次回はいよいよイタリアンシェフの川上さんへの取材本番!お楽しみに!

テキスト:椎葉康祐